とやまのごちそう
– 数量限定の特別なピッツァ –
とやまのごちそうシリーズは、ピッツァ職人・井上浩延が富山で出会った食材をメインにした特別なピッツァです。美味しい食材に出会ったとき、数量限定で販売いたします。食材の美味しさを閉じ込めるために、窯から出してすぐにピッツァを急速冷凍します。ご家庭のトースターで焼くだけで、本格的な味をお楽しみいただけます。
vol.1
猟師・石黒木太郎さんの仕留めたジビエ
シリーズ第一弾は、富山市八尾の山奥にある大長谷ハンターズジビエ・石黒木太郎さんが仕留めたジビエをピッツァにしました。獲ってすぐに処理をされ、新鮮な状態のまま家窯ピッツァのキッチンに届けられた肉は臭みがなく、噛めば噛むほど旨味が増していきます。
鹿肉の赤ワイン煮込み
歯ごたえのある赤身が特徴の鹿肉は、赤ワインで丁寧に煮込みました。カーヴォロネロ(黒キャベツ)、ドライいちじく、ロースト胡桃と合わせて、渋みのある大人の味わいに仕上げています。
猪肉のハーブロースト
脂ののった猪のバラ肉を、ワインビネガー、ハーブ(ローズマリー、タイム)で肉がほろほろになるまでローストしました。味噌ベースに里芋、モッツァレラチーズの代わりにおからをのせて、アクセントに素揚げしたごぼうを散らしてます。
ギフトにも
選べる2種類のセット
第一弾では、2種類のセットをご用意いたしました。職人が手で漉いた五箇山和紙でピッツァを包み、専用のボックスに入れてお届けいたします。ギフトにもおすすめです。
ジビエ2種+クアトロフォルマッジ
鹿肉の赤ワイン煮込み、猪肉のハーブロースト、クアトロフォルマッジの3種類をセットにしてお届けいたします。
ジビエ2種+富山づくし3種
鹿肉の赤ワイン煮込み、猪肉のハーブロースト、こんかいわしのシチリアーナ、黒づくりと長ねぎ、クアトロフォルマッジの5種類をセットにしてお届けいたします。
猟師・石黒木太郎さんの仕留めたジビエ
– 美味しさの秘密 –
一見すると無秩序な雑木林でも、猟師の目には動物が歩いている姿が映っているという。石黒木太郎さんは、富山市の中心部から車で1時間ばかり山を上ったところにある大長谷の集落で生まれ育った。12歳からおよそ8年間は、富山と北海道を行き来しながら、キャンプで「自然」の中に身を置く生活をしてきた。転機が訪れたのは、21歳を過ぎた頃。生まれ故郷に根を下ろし、米づくりをはじめたが、稲穂が黄金色に色づくとイノシシに田を荒らされてしまった。どうしようもない悔しさに苛まれる中、地元の猟師の勧めもあって、猟師免許をとることにした。
この地域ではおもにクマやイノシシ、シカを捕る。狩猟が解禁される11月から雪が降るまでは、おもに罠を使い、獲物がかかるのを待つ。罠の形状は鳥獣保護管理法で定められており、足を捉える輪の大きさは12cm未満にしなければならない。また、罠を土に埋めて隠すだけで、餌でおびき寄せることはしない。たまたまその罠を踏んだときにだけ、罠がかかるという仕組みだ。
狩猟の対象となるのは、市街地などの狩猟禁止区域や国立公園などの外、すなわちほとんど全ての山だ。その広大な山の中から、わずか12cmの精度で罠を仕掛けなければならない。それなのに、なぜ獲物を仕留めることができるのか、石黒さんに尋ねた。
「動物の気持ちになって考えるんですよ」
石黒さんが指差した場所を見ると、わずかに土が踏み固められたような跡があった。ほとんどの動物は、住処から餌場まで決まった道を移動している。いわゆる獣道だ。それは素人の目には到底わかりそうもないものだったが、石黒さんの目には確かに道が見えていた。
「たとえば道の途中に木の根っこがあったら、動物はそれを避けようとします。つまり、木の根っこの前後のどちらかに足をついて跨ごうとしますよね。その場所に罠を置けばいいんです。」
さらに、モモ肉を傷つけないようにするために、前足が罠にかかるようにするという。地形を見て、自分が動物だったらどういう足跡をつけるかを考えるのだ。
猟師の一日は、数カ所に仕掛けた罠の見回りから始まる。もし罠にかかっていれば、その場で頸動脈を切ってとどめを刺す。そして処理場へ運んで内蔵を取り出すなどの下処理をする。この作業を素早く丁寧にすることで、臭みのなく美味しい肉になる。仕事の安心感から、石黒さんが出す肉は人気が高い。
近年は鳥獣被害が問題視され、被害軽減のためにジビエ肉の活用などが推進されている。駆除した動物の命がもったいないから食べる、という考えが一般化する中で、石黒さんはこう話す。
「自分は小さい頃からジビエのおいしさを知っています。とくにクマはほっぺたが落ちるくらいご馳走です。だから捕る。食材として美味しいものを届けたいから、自分か信頼できる人がその目で死ぬ瞬間を見た動物しか扱わないことにしているんです。」
近年、個体数が増加しているシカも、駆除のために獲っているわけではない。「食材として求められるから、丁寧に処理をして美味しい肉として届けています。その結果が農作物被害の軽減につながれば、それはいいことですね。」
必要な分だけを捕り、感謝する。自分の手で命を奪っているからこそ丁寧な仕事ができる。狩猟シーズン真っ盛りのいま、石黒さんは自然と対話をして生きている。